『「宇宙葬」と「バルーン葬」って、何が違うの?』 この記事では、宇宙葬とバルーン葬の違いについて徹底的にまとめていきます。 両者は混同されることが多いですが、実は全くの別物ですので、しっかりとポイントを抑えていきましょう。 |
目次
宇宙葬とは
一般に宇宙葬とは、遺灰を入れた専用のカプセルをロケットに内蔵して、宇宙空間まで運んだ後に「遺灰入りカプセルを放流」または「遺灰の散骨」をすることを指します。
遺灰入りカプセルを宇宙に運ぶ手段として、ロケットを使う場合と人工衛星を使う場合があります。
また、宇宙空間に運んだ遺灰の散骨方法として、「カプセルを地球の周回軌道上に乗せる」「月面に散骨する」「探査船に乗せたままにする」の3つがあります。
このように、宇宙葬を主催している会社・サービスによって「宇宙葬プランの内容が微妙に違う」ので注意が必要です。
全ての「宇宙葬」に共通する要素とは?
国際航空連盟は、地上から100kmを宇宙空間と大気圏の境界線(カーマン・ライン)としています。
よって、全ての宇宙葬に共通する要素としては「地上から100km以上の高度で散骨する」ことが上げられます。
表①→カーマンラインを超えるものが「宇宙葬」!
識別名 | 参考 | |
外気圏(800〜10,000km) | 宇宙空間(宇宙葬の範囲) | スペースシャトルが飛ぶ高度 |
熱圏(100〜800km) | 大気圏・宇宙空間(宇宙葬の範囲) | |
カーマン・ライン(高度:100km) | 大気圏 | |
熱圏(高度:80〜100km) | ||
中間圏(高度:50〜80km) | ||
成層圏(高度:11〜50km) | バルーン葬の高度 | |
対流圏(高度:0〜11km) | 旅客機が飛ぶ高度 | |
地球 | 地表 |
バルーン葬とは
バルーン葬とは、巨大なバルーンの中に故人の遺灰の一部を入れて成層圏まで上げていき、熱膨張で破裂させて空中に散骨する方法のことを指します。
一般には、「バルーン宇宙葬」「バルーン宇宙散骨」といったネーミングで知られていることが多く、「バルーン葬と宇宙葬の違いがよく分からない」と思う人は少なくありません。
「宇宙葬」と「バルーン葬」の違いとは?
バルーン葬は「バルーン宇宙葬」「バルーン宇宙散骨」といった言葉が有名で、一見すると「バルーン葬は宇宙葬の一種である」というように思えます。
しかし、バルーン葬は厳密には宇宙葬ではありません。
なぜなら、バルーンが高度11km〜50kmの成層圏までしか上がらず、国際航空連盟が定めるカーマン・ラインを超えないからです。
このような事情にも関わらず「バルーン宇宙葬」と言われるのは、日本で初めてバルーン葬を生み出したバルーン工房が、「バルーン宇宙葬」という名前で商標登録と特許を獲得して、積極的に宣伝しているからです。
本当の意味での宇宙葬は、ロケットや人工衛星で遺灰入りカプセルを打ち上げるタイプのものを指しますので、ご注意ください。
また、ロケットで打ち上げるタイプの宇宙葬は「ロケット宇宙葬」とも呼ばれます。
表②→「バルーン葬」と「宇宙葬」は高度が違う!
種類 | 高度はどこまで上がる? |
バルーン葬 | 成層圏(高度:11〜50km)まで |
宇宙葬 | カーマン・ライン(高度:100km)以上 |
【宇宙葬】関連キーワード総まとめ
宇宙葬自体は1990年代から存在したため、それほど新しいものであるとは言えません。
しかし近年、新しく宇宙葬を主催し始めた企業が他社との差別化のために、全く新しい関連キーワードを増やしてきました。
「似ているのでなんとなく分かるが、この機会にしっかりと知っておきたい」
そんなあなたのために、宇宙葬に関連するあらゆるキーワードの説明を徹底的にまとめました。
宇宙葬
ロケットや人工衛星で遺灰入りカプセルをカーマン・ライン(高度100km)より上に持っていき、「カプセルを放流」または「宇宙空間に散骨」する方法。
「カプセルを放流」するタイプの場合、地球の周回軌道上に乗ったカプセルはやがて大気圏に突入して流れ星となるため、「流れ星供養」と呼ばれることもある。
宇宙葬儀
宇宙葬のこと。
宇宙葬と聞くと、「一般葬」や「家族葬」と同じ「葬式」をイメージしてしまいがち。
しかし実際には、「葬式後に行うお墓への埋葬」という意味合いに近い。
よって、宇宙葬という意味は宇宙で葬儀をやるというより、宇宙へ埋葬するという意味が適しているので、「宇宙葬儀」という言葉はあまり使われない。
バルーン葬
巨大なバルーンの中に故人の遺灰の一部を入れて成層圏まで上げていき、熱膨張で破裂させて空中に散骨する方法。
ロケット宇宙葬
ロケットや人工衛星を用いて行う宇宙葬で、バルーン宇宙葬と区別するために用いられるネーミング。
宇宙空間に放流したカプセルは地球の周回軌道に乗って、やがて大気圏に突入して流れ星となる。
バルーン宇宙葬
バルーン工房が商標登録・特許を獲得しているネーミングで、ロケット宇宙葬と区別するために用いられるネーミング。
バルーンはカーマン・ライン(高度100km)を超えないので、「バルーン宇宙葬」は正確には宇宙葬ではない。
月面葬
宇宙葬の一種で、遺灰入りカプセルを宇宙空間に放流するのではなく、月面に遺灰を撒くかたちで散骨する方法。
「月面供養」と呼ばれることもある。
空中散骨
ヘリコプターや軽飛行機セスナ、バルーンなどを用いて、故人の遺灰を空中で散骨する方法。
バルーン葬もこの空中散骨の一種と考えられる。
バルーン葬の費用はいくら?
現在、日本では「バルーン工房」と「ストーンアート工業」の2社がバルーン葬を主催しています。
ここでは、各会社のバルーン葬プランの費用がいくらなのかをまとめていきます。
バルーン工房の費用
日本で初めてバルーン葬を生み出したバルーン工房では、26万円からバルーン葬を行うことができます。
動画撮影などのオプション費用や、出張経費・実施場所使用料など別途費用項目が多いので、詳細な費用に関して把握したい方は、直接問い合わせることをおすすめします。
表③→バルーン工房の費用は26万円
会社・サービス名 | 宇宙葬の費用 |
バルーン工房
【出典】バルーン工房 |
合計:260,000円〜 |
ストーンアート工業の費用
代理散骨の場合、費用は合計で8万円しかかかりません。
日本で最も安くバルーン葬を行えるのが「ストーンアート工業」であると言えるでしょう。
こちらもバルーン工房と同じで、借地使用料・出張経費がかかる場合がありますので注意が必要です。
表④→ストーンアート工業の費用は8〜24万円
会社・サービス名 | 宇宙葬の費用 |
ストーンアート工業
【出典】ストーンアート工業 |
合計:240,000円〜
合計:80,000円 |
バルーン葬の3つの特徴
バルーン葬という葬送法には、どのような特徴があるのでしょうか?
ここでは抑えておきたい3つのポイントをご紹介します。
①場所を選ばない
出張経費や借地使用料がかかりますが、基本的にバルーン葬はどこでも行うことができます。
なぜなら、お墓を作る土地やロケットを飛ばす宇宙基地が必要なく、ただバルーンを空に飛ばすだけだからです。
「故人の思い出の場所で、いつでも好きな時に供養ができる」
これがバルーン葬の最大の特徴と言えるでしょう。
②空中散骨の一種であるので、地球全体をお墓にできる
バルーンで成層圏に運んだ遺灰は、最終的に空中で散骨されることになりますので、地球全体に撒き散らされます。
よって、バルーン葬はある意味で「地球全体をお墓にするサービス」とも言えるのです。
「お墓のように明確なお参り先がない」というデメリットがあるので賛否両論ですが、通常のお墓よりも大きなスケールで供養ができるというのがバルーン葬の特徴の1つです。
③費用がすごく安い
バルーン葬の費用は非常に安いです。
なぜなら、墓石施工価格として材料代や工事代が一切かからないのに加え、永代使用料といったお墓の場所代・土地代もかからないからです。
動画撮影や出張経費・借地使用料といった各種追加費用を考慮しても、30万円〜50万円の費用で済むというのもバルーン葬の魅力の1つでしょう。
【まとめ】宇宙葬とバルーン葬について
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いかがでしたでしょうか?
今後、宇宙葬の人気が増していくにつれて施行会社も増え、差別化のためにまた新しいキーワードが生まれていくことでしょう。
まずは今ある関連キーワードをしっかりと抑えて、宇宙葬に対する理解をより一層深めてみてください。