遺族年金はいくらもらえる?仕組みと受給額をわかりやすく解説します

自分が亡くなった時、残された遺族に支払われるお金が遺族年金です。

遺族年金は、国民年金に加入していれば誰でも受け取れるものですが、制度自体が複雑なため、なかなか理解しきれていない人が多いと思います。

そこで今回は、遺族年金の仕組みと受給額について、わかりやすく説明します。

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24歳の終活カウンセラー。Amazonで終活関係の本を20冊以上購入し、電車の中で毎日読む生活を4ヶ月以上継続中。最近はまっている趣味は「マインドフルネス(瞑想)」。人生に疲れたら、お寺に行って座禅修行する予定。

遺族年金とは?

遺族年金 とは

遺族年金とは、自分が亡くなった時に、残された家族(基本的に妻や子ども)に支給されるお金のことです。

遺族の金銭的困難を救ってくれる制度というわけですね。

遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「遺族共済年金」の3つの種類があります。

そこに「寡婦年金」「死亡一時金」の補助も加えて、私たちを金銭的に支援してくれています。

給付の種類や受給額は、加入している公的年金(国民年金や厚生年金など)や支払ってきた保険料の期間、遺族の構成・年齢に応じて変化します。

加入している公的年金 18未満の子どもの有無 給付の種類

国民年金
(自営業者・フリーランスなど)

あり 遺族基礎年金
なし 寡婦年金または死亡一時金

厚生年金
(会社員など)

あり 遺族基礎年金+遺族厚生年金
なし 遺族厚生年金
共済年金
(公務員など)
あり 遺族基礎年金+遺族共済年金
なし 遺族共済年金

では、実際に受給金額はいくらになるのか、詳しく見ていきましょう。

遺族年金の種類と受給金額について

遺族基礎年金とは|受給金額:780,100円+子の加算

遺族基礎年金 とは

遺族基礎年金とは、国民年金に加入している人が死亡した時に、その遺族(配偶者または子ども)に支給される年金のことです。

老齢年金のような65歳以降からでないともらえない年金ではありません。

子どもが18歳になるまで(18歳の年度末まで)受け取ることができます。

ただし、18歳未満の子どもがいない場合には、受給することができません。

給付条件 ・加入期間の2/3以上が保険料納付済期間であること
・支給対象に年850万円以上の収入または年655万5千円以上の所得がないこと
・支給対象が、亡くなった人によって生計が維持されていた場合
給付対象 ・18歳未満の子どもがいる妻・夫
・18歳になった年度の3月31日を超えていない子ども
※(1級・2級障害者なら20歳未満)
給付額 ・18歳未満の子どもが1人……年間1,004,600円(780,100円+224,500円)
・18歳未満の子どもが2人……年間1,229,100円(780,100円+224,500円×2)
・18歳未満の子どもが3人……年間1,303,900円(780,100円+224,500円×2+74,800円)
・4人以降……年間1,303,900円+4人以降の子ども1人につき74,800円
支給期間 ・子どもが18歳になるまで(18歳の年度末まで)
※夫・妻の死亡時に30歳未満だった配偶者が受け取る場合は、遺族基礎年金の受給資格を失ってから5年間

もともと遺族基礎年金の受給対象は「18歳未満の子どもがいる妻」と「子ども」に限定されていました。

しかし、平成26年4月の改正で、夫も受給の対象になりました。

よって、現在では母子家庭でも父子家庭でも遺族基礎年金を利用することができます。
(※平成26年4月以前に父子家庭になった場合は対象外です)

どんな人でも国民年金に加入しているので、条件さえあえば必ず利用できる制度となっています。

遺族厚生年金とは|受給金額:厚生年金のおよそ3/4(+585,100円)

遺族厚生年金 とは

遺族厚生年金は、遺族基礎年金と違って18歳未満の子どもがいなくても支給される年金のことです。

18歳未満の子どもがいれば、遺族基礎年金に上乗せして支給されます。

支給対象も配偶者と子どもだけではなく、祖父母などが加わっています。

厚生年金に加入している必要があるので、基本的に会社員が利用する遺族年金となっています。

給付される条件 ・加入期間の2/3以上が保険料納付済期間であること
・支給対象に年850万円以上の収入または年655万5千円以上の所得がないこと
・支給対象が、亡くなった人によって生計が維持されていた場合
給付対象になる遺族 ・妻
・子ども・孫
・55歳以上の夫
・55歳以上の父母
・55歳以上の祖父母
※(支給開始は60歳で、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせた受給になる)
給付額 死亡した本人が本来受け取るはずだった厚生年金のおよそ3/4
支給期間 【妻】
一生涯
※夫の死亡時に30歳未満だった妻が受け取る場合は、遺族厚生年金の受給資格を失ってから5年間【子ども・孫】
18際の年度末まで
※(1級・2級障害者なら20歳まで)【夫・父母・祖父母】
60歳から一生涯

遺族厚生年金は遺族基礎年金よりも複雑なシステムになっていますので、分かりやすく解説します。

まず、遺族厚生年金は配偶者と子ども以外にも支給対象になる遺族が増えます。

支給される優先順位は、【子どもがいる配偶者→子ども→子どものいない配偶者→父母→孫→祖父母】となっています。

注意したいのは、55歳未満の夫・父母・祖父母には受給権が発生しないことと、55歳以上であっても60歳になるまでは支給されないことですね。

遺族厚生年金は遺族基礎年金と違って、18歳未満の子どもがいなくても受け取ることができます。

18歳未満の子どもがいる場合は、遺族基礎年金に加算してもらえます。どちらか一方しかもらえないということはないので、安心して受給しましょう。

給付額についてですが、正確な金額は、

(平均標準報酬月額×7.125÷1,000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬月額×5.481÷1,000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数)×3/4

または、

(平均標準報酬月額×7.5÷1,000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬月額×5.769÷1,000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数)×1.000(※昭和13年4月2日以降生まれの場合は0.998)×3/4

という複雑すぎる計算式で求められます。

おおまかに言えば、死亡した人が本来受け取る予定だった老齢厚生年金の3/4なので、そう捉えておきましょう。

ちなみに、18歳未満の子どもがいない妻が40歳以上だったら、65歳になるまでの間はもらえる金額が増えます。

中高齢寡婦加算という特別な手当てをもらうことができ、年間で585,100円の増額となります。

目安ですが、遺族厚生年金で支給される具体的な金額は以下の通りです。

子どものいる妻 子ども3人の期間

年額1,865,000円(月額155,416円)
(遺族基礎年金+遺族厚生年金)

子ども2人の期間

年額1,790,200円(月額149,183円)
(遺族基礎年金+遺族厚生年金)

子ども1人の期間

年額1,565,700円(月額130,475円)
(遺族基礎年金+遺族厚生年金)

子どものいない妻

妻が65歳未満の期間
(夫死亡時に妻が40歳未満の場合)

年額561,100円(月額46,758円)
(遺族厚生年金)

妻が65歳未満の期間
(夫死亡時に妻が40~64歳の場合)

年額1,146,200円(月額95,516円)
(遺族厚生年金+中高齢寡婦加算)

妻が65歳以降の期間

年額1,341,200円(月額111,766円)
(遺族厚生年金+妻の老齢基礎年金)

【出典】公益財団法人生命保険文化センター

遺族共済年金とは|受給金額:共済年金のおよそ3/4

遺族共済年金 とは

遺族共済年金は、遺族厚生年金とほとんど同じです。

基本的に公務員の人が利用するもので、職域加算と呼ばれる手当もありましたが、こちらの制度は厚生年金とそろえる形で無くなる予定です。

現段階では、遺族厚生年金よりも少しだけもらえる金額が大きい遺族年金と捉えておけば十分です。

寡婦年金とは|受給金額:老齢基礎年金の3/4

寡婦年金とは、遺族基礎年金も遺族厚生年金も支給されない場合に登場する年金です。

夫が国民年金のみの加入者(自営業やフリーランスで活動)で、かつ18歳未満の子どもがいない場合に適用されます。

この場合、遺族基礎年金の受給対象にならないので、その代わりにもらえる助け舟が寡婦年金です。

国民年金に支払っていた夫の保険料が、掛け捨てにならないようにと配慮された制度というわけですね。

給付される条件 ・保険料納付済期間が合計25年以上であること
・支給対象が、亡くなった人によって生計が維持されていた場合
給付対象になる遺族 ・亡くなった夫と10年以上継続して婚姻関係にあった妻
※妻がすでに自身の老齢基礎年金を受けとっていた場合は給付対象にならない
給付額 ・夫が本来受け取るはずだった老齢基礎年金の3/4
支給期間 ・60~65歳までの5年間

夫が保険料を40年間しっかりと納付していた場合だと、老齢基礎年金は満額で780,100円(年間)になります。

その金額の3/4なら、寡婦年金で受給できる額は年間でおよそ58万円ですね。

妻が自身の老齢基礎年金を65歳よりも前に繰り上げ受給していると、寡婦年金はもらえませんので注意してください。

死亡一時金とは|受給金額:12~32万円(+8,500円)

死亡一時金も、遺族基礎年金が支給されない場合に登場する制度です。

死亡一時金は寡婦年金と違って、一時金として一回だけ支払われます。

給付される条件 ・遺族が遺族基礎年金の支給を受けられない場合
・亡くなった本人が、36月以上保険料を納めていること
・支給対象が、亡くなった人によって生計が維持されていた場合
・寡婦年金を受け取らないこと
給付対象になる遺族 ・配偶者
・子ども・孫
・父母
・祖父母
・兄弟姉妹
給付額 ・12~32万円(保険料を納めた月数に応じて異なる)
※付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、8,500円が加算される
支給期間 ・1回の支給

支給される優先順位は、【配偶者→子ども→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹】となっています。

寡婦年金を受け取る場合は、死亡一時金は利用できないので注意してください。

死亡一時金による受給額は以下の通りです。
※付加保険料を36月以上納めていた場合は、8,500円が加算

保険料納付済期間 金額
36月以上180月未満 120,000円
180月以上240月未満 145,000円
240月以上300月未満 170,000円
300月以上360月未満 220,000円
360月以上420月未満 270,000円
420月以上 320,000円

金額を見ると、寡婦年金の方が圧倒的に高額ですが、場合によっては寡婦年金を受け取るれないことがあります。(妻が自身の老齢基礎年金を繰り上げ受給した場合など)

その際は、死亡一時金を受け取った方がお得です。

まとめ

遺族年金 いくら もらえる
  • 遺族年金とは、自分が亡くなった時に残された遺族が受け取れるお金のこと
  • 遺族基礎年金
    • 受給金額の目安:780,100円+子の加算
  • 遺族厚生年金
    • 受給金額の目安:厚生年金のおよそ3/4(+585,100円)
  • 遺族共済年金
    • 受給金額の目安:共済年金のおよそ3/4
  • 寡婦年金
    • 受給金額の目安:老齢基礎年金の3/4
  • 死亡一時金
    • 受給金額の目安:12~32万円(+8,500円)

遺族年金で支給される制度は、このように幅広く、受給額もそれなりです。

個人で死亡保険に入らなくても、公的保障でこれだけの保障を受け取ることができます。

生命保険の加入や見直しを検討する場合は、この金額を念頭に入れて死亡保険金を設定しましょう。

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