「葬儀費用」を「確定申告」して、税金の払い過ぎが戻ってくるのか気になりますよね。 そんなお悩みを解決するために、必要な情報を分かりやすくまとめました。 葬儀と関係がある「確定申告」のお悩みは、この記事を見れば一瞬で解決できますよ。 |
抑えておくべきなのはこの2つ!葬儀費用と確定申告の関係について
「Yahoo!知恵袋」を見たところ、「葬儀費用と確定申告」について以下の2つのお悩みが多かったです。
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葬儀に関する確定申告としては
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の2種類の話がありますので、あなたが「よく分からない・・・。」と悩んでしまうのも当然です。
ここからは、それぞれのお悩みについて回答していきます。
1.確定申告をすることで、葬儀費用を控除対象にすることはできない
結論から言いますと、確定申告をして、葬儀費用を控除対象にすることはできません。
まず、控除とはあらかじめ課税の対象とならない金額を引いておくことです。
控除を行うと、下記の表のように課税対象額が減るので、所得税を減らすことができます。
所得 (本来の課税対象額:100万円) |
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課税対象額 (実際の課税対象額:80万円) |
控除対象額 (あらかじめ引かれる額:20万円) |
→課税対象額が100万円から80万円に減る! |
確定申告とは所得に対する控除のことです。
残念ながら葬儀費用は所得にあたらないため、確定申告によって控除を受けることができません。
しかし、葬儀にかかる費用のいくつかは相続財産として考えることができるため、相続財産に対する控除を受けることで、相続税を節約することができます。
以下の表に、「葬儀費用」と「確定申告・控除」に関係性をまとめましたのでご覧ください。
控除の種類 | 葬儀費用を控除できるか | 概要 |
所得に対する控除(確定申告) | × | 所得にかかる税金の額を計算し、支払うための手続き |
相続財産に対する控除 | ○ | 相続財産から控除対象額を引いて、相続税の支払いを抑える方法 |
ここまで、「葬儀費用を控除対象とするための確定申告」の話をしてきました。
ここからは、「故人の税務関係を処理するための確定申告(=準確定申告)」の話をしていきます。
2.故人(亡くなった身内の人)の確定申告は相続人が代理でする必要がある
準確定申告という言葉を初めて聞いた方も多いのではないでしょうか?
国税庁は準確定申告について、以下のように説明しています
年の中途で死亡した人の場合は、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。
つまり、亡くなった身内の方の代わりに相続人が故人の税務関係を処理する手続きのことですね。
「確定申告」と「準確定申告」は、以下の表のように違った目的で行われるので、全くの別物であるということをまずは抑えてください。
種類 | 目的 |
確定申告 | 所得の控除をして、所得税を減らすため |
準確定申告 | 故人の税務関係を処理するため |
ここまで、「葬儀費用」と「確定申告」についてお話ししてきました。
ここからは、準確定申告の細かい要件についてご紹介していきます。
準確定申告で抑えるべき6つのポイント
準確定申告は「税金」に関する手続きですので、細かくて複雑な要件が多いです。
ここでは、本当に抑える必要があるポイントだけを
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の流れに沿って解説していきます。
1.When-いつ申告・納税するのか-
準確定申告は、相続人が相続を知った日の翌日から4カ月以内に行わなければなりません。納税も同期間に行わなければならないので、遅れないようにくれぐれも注意しましょう。
2.Where-どこに納税するのか-
納税先はよく間違われるので、しっかりと確認しておきましょう。
×相続人(故人から財産を相続する人)の住所地の管轄税務署 ○被相続人(亡くなった人)の住所地を管轄する税務署 |
3.Who-誰が申告・納税するのか-
被相続人(亡くなった身内の人)が以下の要件のどれか1つにでも該当する場合は、相続人(故人から財産を相続する人)が準確定申告をする必要があります。
- 自営業者・個人事業主
- 給与所得と退職所得以外の所得が計20万円以上あった場合
- 給与の年間収入が2000万円以上の場合
- 同族会社の役員やその親族などで、給与のほかに貸付金の利子や家賃などを受け取っていた場合
【出典】被相続人の確定申告は相続人が代わりに手続きが必要~申告期限は4カ月! | 遺産相続弁護士相談広場
なお、相続人が複数名いる場合には、「確定申告書付表」に各相続人の氏名や続柄、その他相続価額などを全員分記入する必要があります。
4.What-申告・納税の対象は何なのか-
「故人の1年間(1/1〜12/31)の所得」に対して、申告・納税を行う必要があります。
5.How-どのようなことをする必要があるのか-
下記書類に必要事項を記入して、被相続人(亡くなった人)の住所地を管轄する税務署に提出する必要があります。
必ず必要なもの | 場合により必要なもの |
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【出典】準確定申告が不要な場合とは|必要になるケースと申告に使う書類|厳選 相続弁護士ナビ
6.Why-なぜする必要があるのか-
準確定申告をする理由は、故人の税務関係を処理するためです。
準確定申告で注意すべき2つのこと
準確定申告をする際に気をつけることがいくつかあります。
今回はその中でも、特に押さえておきたいポイントをご紹介します。
期限内に正しく申告・納税が終わらないとペナルティが発生する
期限内に申告・納税が終わらないと、加算税・延滞税などが上乗せされてしまいます。
国税庁によると、2018/5/9現在の各税率は以下のようになっています。
納税日 | 延滞税率(2018/05/07現在) | |
延滞税 (納税日が期限を超えていた場合に課される税) |
納期限の翌日から2月を経過する日まで | 原則として年「7.3%」 |
納期限の翌日から2月を経過した日以後 | 原則として年「14.6%」 |
種類 | 上乗せされる税率 | 加算されるケース | |
加算税
(正しい確定申告がなされなかった際に課される税) |
過少申告加算税 | 年10〜15% | 本来の納税額より過少に申告した場合 |
無申告加算税 | 年15〜20% | 確定申告をしなかった場合 | |
不納付加算税 | 年10% | 納税を忘れていた場合 | |
重加算税 | 年35〜40% | 税務署を意図的に騙そうとした場合 |
【出典】財務省 加算税の概要
確定申告書を2年分提出するケースがある
故人が1月1日〜3月15日までの間に亡くなった場合には注意が必要です。
これには確定申告の時期的な問題があります。
時期 | 状況 |
1月1日〜2月15日 | 前年度の確定申告がまだできない |
2月16日〜3月15日 | 前年度の確定申告の手続きがまだ終わっていない可能性がある |
上記のように、1月1日〜3月15日の期間中は前年度の確定申告が終わっていない可能性があります。
その場合は、前年度の申告も合わせて行う必要があるため、確定申告書を2年分提出することになるのです。
まとめ
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いかがでしたでしょうか?
今回は、葬儀費用で悩む人が多い「確定申告」と「準確定申告」の違いについてご紹介しました。
申告・納税までの期間が4ヶ月と短いので、ここでご紹介したことを役立てて手早く終わらせて頂けたらと思います。