【2019年】相続税を葬儀費用の控除で減らす!≪早見表あり≫

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24歳の終活カウンセラー。Amazonで終活関係の本を20冊以上購入し、電車の中で毎日読む生活を4ヶ月以上継続中。最近はまっている趣味は「マインドフルネス(瞑想)」。人生に疲れたら、お寺に行って座禅修行する予定。

相続税は葬儀費用を控除することで大幅に減らせます

アドバイスを与える若い女性

葬儀費用は相続財産から支払うことができます。

相続税は「相続財産額×相続できる割合×税率=相続税」で決まるため、控除制度を使えば相続財産額を減らせるので、相続税も減ります。

相続財産額(ここが減ると・・・)×相続できる割合×税率=相続税(ここも減る!)

よって、下記の表のように相続財産から葬儀費用を控除することは、相続税を減らす効果的な手法なのです。

相続財産(控除前) 
相続財産(控除後)

手順②課税対象が減るので、相続税も減る

葬儀費用

手順①相続財産から葬儀費用を控除

葬儀費用の控除に関しては、「確定申告をすることで、相続財産を控除することはできないのか?」という質問が多いです。

しかし、葬儀費用は「所得」ではないため、確定申告では控除できません。

【よくある質問】葬儀費用の控除について

Q.確定申告をすることで、相続財産を控除することはできないのか?

A.確定申告をすれば「所得」の控除ができる。しかし、葬儀費用は「所得」ではない。

→よって、確定申告では葬儀費用を控除することはできない

また、実際に控除の申請をする際には以下の2つのことに気をつけておきましょう。

葬儀費用を控除してもらう際に気をつける2つのこと

  1.  葬儀費用に関する領収書を必ず持参する
    • 葬儀社には領収書を発行してもらい、領収書を発行しない寺院へのお布施などは必要事項を書いたメモを控えておきましょう
  2. 申告・納税の期限を守る
    • 相続税の申告・納税の期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月です。

≪相続税を減らす≫葬儀費用の控除の仕組みを知ろう!

ガッツポーズをしている女性

控除と聞くと、「税金が絡むから難しそう・・・。」と思ってしまいがちですが、実は抑えるポイントは少ししかありません。

まず抑えてほしいのは、

  • 葬儀費用は故人の相続財産から支払うことができる
  • 葬儀費用として使った相続財産には、相続税がかからない(相続税が控除される)

ということです。

そもそも税金には、「控除」という実際の納税負担を減らすための仕組みがあります。

控除とは、あらかじめ課税される対象金額を減らすことで、税金の支払いを少なくすることができる制度のことです。

葬儀費用に関する控除でよく議論されるのが

  • 所得に対する控除
  • 相続財産に対する控除

の2つです。

葬儀費用は所得ではないため、所得に対する控除は適用されません。

しかし、葬儀費用は相続財産から支払うことが可能なため、相続財産に対する控除を受けることができます。

つまり、葬儀費用を相続財産から支払えば相続税の納税額が減るため、実際の納税負担を軽くすることができるのです。

これについて、表を用いて分かりやすく解説します。

以下の2つの情報を下に、①葬儀費用を相続財産から支払った場合②葬儀費用を相続財産から支払わなかった場合とで、相続税がどれだけ変わるのかをシミュレートしてみましょう。

※旭化成ホームズ株式会社が平成25年に実施した「親と子の財産相続に関する意識調査」によると、65歳以上シニアが所有する、相続対象の資産総額は平均で約4743.3万円

※日本消費者協会が2017年に行った「第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」によると、葬儀費用の平均は195.7万円

①葬儀費用を相続財産から支払った場合

何かを指している女性
相続財産

4743.3万円

その他

4547.6万円

葬儀費用

195.7万円

黒く塗りつぶしたエリアが相続税の課税範囲です。

先ほども申し上げた通り、葬儀費用として使った相続財産には、相続税がかかりません。(葬儀費用が控除される)

つまり、この場合相続税の対象額は4547.6万円だけとなります。

では、実際に納める相続税はいくらになるのでしょうか?

国税庁 No.4152 相続税の計算」・「国税庁 No.4155 相続税の税率」を参考に計算してみました。

■相続税の計算式

配偶者・子供1人のケース(※自分が配偶者として)

課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)
= 課税遺産総額

課税遺産総額×1/2×税率=相続税

■葬儀費用を相続財産から支払った場合

課税価格の合計額(4547.6万円) - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 2)
= 課税遺産総額(347.6万円)

課税遺産総額(347.6万円)×1/2×税率(10%)=相続税(17.38万円)=約17万円

②葬儀費用を相続財産から支払わなかった場合

指を指す若い女性
相続財産

4743.3万円 

黒く塗りつぶしたエリアが相続税の課税範囲です。

葬儀費用として使った相続財産がありませんので、控除される税額はゼロとなります。

つまり、この場合相続税の対象額は4743.3万円全てとなります。

■葬儀費用を相続財産から支払わなかった場合

課税価格の合計額(4743.3万円) - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 2)
= 課税遺産総額(543.3万円)

課税遺産総額(543.3万円)×1/2×税率(10%)=相続税(27.165万円)=約27万円

ここまでの計算結果をまとめますと、以下のようになります。

相続財産 課税遺産総額  相続税
①葬儀費用を相続財産から支払った場合 4547.6万円 347.6万円 約17万円
②葬儀費用を相続財産から支払わなかった場合 4743.3万円 543.3万円  約27万円

葬儀費用を相続財産から支払うことで、約10万円の相続税を節約できるという結果が出ました。

税金の負担を少しでも減らすためにも、葬儀費用は相続財産から支払うべきですね。

葬儀費用の控除をする際の2つの注意点

ピースをするビジネスウーマン

葬儀社に必ず領収書を発行してもらおう

葬儀費用の控除をしてもらう際の一連の手続きは以下の通りです。

  1. 葬儀を依頼した葬儀社に領収書を発行してもらう
  2. 税務署に行く
  3. 相続税の申告書にある「葬式費用の明細」欄に、葬儀費用の支払先や費用を記入する
  4. 相続税の申告書を提出する

葬儀費用を控除してもらう際には「領収書」が必要なので、必ず葬儀社に発行してもらいましょう。

また、葬儀社と違ってお寺は領収書を発行しませんので、お布施代に関しては下記の4つを書いたメモを自分で控えておきましょう。

  1. 支払日
  2. 支払った相手先(寺院など)
  3. 支払った目的(お布施代など)
  4. 支払い金額

10ヶ月という申告・納税期間を守ろう

笑顔が素敵な女性

国税庁によると、相続税の申告・納税期間は10ヶ月以内となっています。

相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。

相続税の納税は、上記の申告期限までに行うことになっています。

【出典】相続税の申告と納税|国税庁

葬儀費用の控除を受けるために、必ず期限を守るようにしましょう。

葬儀費用〜控除できるもの・できないもの〜 全部まとめました

葬儀費用の控除対象についてまとめる女性

国税庁によると、相続財産から控除できる葬式費用となるもの・ならないものは以下の通りです。

葬式費用となるもの 葬式費用に含まれないもの
(1) 葬式や葬送に際し、又はこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。) (1) 香典返しのためにかかった費用
(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用 (2) 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
(3) 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります。) (3) 初七日や法事などのためにかかった費用
(4) 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5) 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用

【出典】相続財産から控除できる葬式費用|国税庁

要点を簡単にまとめますと、以下のようになります。

  • 葬式費用となるもの
    • 故人がなくなってから行う「通夜・告別式・火葬」までにかかる必要経費
  • 葬式費用に含まれないもの
    • 火葬が終わってから行う「初七日法要」以降にかかるほとんどの費用(納骨代などは別)

とはいえ、これだけでは「葬儀のどの段階で発生する費用を控除できるのか?」が分かりづらいですね。

そこで、葬儀の流れと各段階で発生する費用のうち控除できるものを下の表にまとめました。

また、合わせて実際の控除額の目安も記載しました。

「葬儀費用を相続財産から支払うことでどれだけお得になるのか」をイメージで掴んでいただきたいと思います。

葬儀の流れ 発生する費用

(控除の対象になるもの)

控除額の目安
ご臨終 医師の死亡診断書 3,000〜10,000円
遺体搬送 遺体の搬送費用 30,000〜50,000円
遺体安置  
納棺  
通夜・告別式 通夜・告別式にかかった費用 300,000円〜
葬儀場までの交通費 15,000〜50,000円
葬儀に関する飲食代 100,000円〜
お手伝いさんへの心付け 30,000〜50,000円
運転手さんへのお車代 実費+5000円~1万円程度
お布施代(読経料・戒名料) 200,000円〜300,000円
出棺  
火葬 火葬料 20,000〜50,000円
埋葬料 20,000〜50,000円
初七日法要・精進落とし  
後飾り  
納骨・四十九日 納骨 〜100,000円程度
その他 通常葬式に伴う費用

※控除額の目安は、実際の見積書から推測しました。

なお、控除額の目安は以下の条件でお見積もりをしたときの大まかな金額です。

宗教形式 仏教
ご葬儀が想定される地域 関東圏
お通夜・告別式の参列者数 お通夜・告別式の参列者数:10〜20名(うち親族1〜10名)
ご希望のお葬式のイメージ 親族中心の家族葬
通夜・告別式のお手伝いさんの数 合計:10人

こうして見てみると、かなりの金額を控除できることが分かりますね。

控除額がこれだけあると、数万円〜数十万円ほど相続税が少なくなることも珍しくありません。

葬儀費用は相続財産から支払うことを強くオススメします。

1分でチェックできる!難しい計算いらずの控除額の早見表!

1分でチェックできる早見表を紹介する女性

「実際にいくら控除できるのか知りたいが、計算が難しすぎて全然分からない・・・。」

このような方は本当に多いと思います。

そこで、葬儀費用と合わせて知りたい相続税の基礎控除額・税率、実際の相続税額を一覧にしてご紹介します。

相続税の基礎控除額【早見表①】(2018/05/10時点)

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円

【出典】「身近な人が亡くなった後の手続きの全て(新版)」|自由国民社

相続税の税率【早見表②】(2018/05/10時点)

平成27年1月1日以後より、相続税の税率が変わりました。

従来は10~50%の6段階でしたが、平成27年からは10~55%の8段階となり、最高税率もアップしています。

法定相続分に応じた取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0円
1,001万円〜3,000万円 15% 50万円
3,001万円〜5,000万円 20% 200万円
5,001万円〜1億円以下 30% 700万円
1億円超〜2億円以下 40% 1,700万円
2億円超〜3億円以下 45% 2,700万円
3億円超〜6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

【出典】「身近な人が亡くなった後の手続きの全て(新版)」|自由国民社

相続税の金額はいくら?相続財産別の早見表まとめ!(2018/05/10時点)

相続税額が分からない女性

「相続税の計算が難しくて分からない・・・。」

そんな方のために実際にあなたが負担する相続税額が一目で分かる早見表を用意しました。

故人(=亡くなった身内の人)に配偶者がいる場合子供だけの場合とで分けてまとめましたので、葬儀前にぜひご参考にしてみてください。

相続税額:配偶者がいる場合【早見表③】

相続財産

(基礎控除額控除前)

子供の数
1人 2人 3人 4人
6,000万円 90万円 60万円 30万円 0
7,000万円 160万円 113万円 80万円 50万円
8,000万円 235万円 175万円 138万円 100万円
9,000万円 310万円 240万円 200万円 163万円
1億円 385万円 315万円 263万円 225万円
1億2,000万円 580万円 480万円 403万円 350万円
1億4,000万円 780万円 655万円 578万円 500万円
1億6,000万円 1,070万円 860万円 768万円 675万円
1億8,000万円 1,370万円 1,100万円 993万円 900万円
2億円 1,670万円 1,350万円 1,218万円 1,125万円
2億5,000万円 2,460万円 1,985万円 1,800万円 1,688万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,540万円 2,350万円
3億5,000万円 4,460万円 3,735万円 3,290万円 3,100万円
4億円 5,460万円 4,610万円 4,155万円 3,850万円
5億円 7,605万円 6,555万円 5,963万円 5,500万円
7億円 1億2,250万円 1億870万円 9,885万円 9,300万円
10億円 1億9,750万円 1億7,810万円 1億6,635万円 1億5,650万円

【出典】「身近な人が亡くなった後の手続きの全て(新版)」|自由国民社

相続税額:子供だけの場合【早見表④】

相続財産

(基礎控除額控除前)

子供の数
1人 2人 3人 4人
6,000万円 310万円 180万円 120万円 60万円
7,000万円 480万円 320万円 220万円 160万円
8,000万円 680万円 470万円 330万円 260万円
9,000万円 920万円 620万円 480万円 360万円
1億円 1,220万円 770万円 630万円 490万円
1億2,000万円 1,820万円 1,160万円 930万円 790万円
1億4,000万円 2,460万円 1,560万円 1,240万円 1,090万円
1億6,000万円 3,260万円 2,140万円 1,640万円 1,390万円
1億8,000万円 4,060万円 2,740万円 2,040万円 1,720万円
2億円 4,860万円 3,340万円 2,460万円 2,120万円
2億5,000万円 6,930万円 4,920万円 3,960万円 3,120万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円 4,580万円
3億5,000万円 1億1,500万円 8,920万円 6,980万円 6,080万円
4億円 1億4,000万円 1億920万円 8,980万円 7,580万円
5億円 1億9,000万円 1億5,210万円 1億2,980万円 1億1,040万円
7億円 2億9,320万円 2億4,500万円 2億1,240万円 1億9,040万円
10億円 4億5,820万円 3億9,500万円 3億5,000万円 3億1,770万円

【出典】「身近な人が亡くなった後の手続きの全て(新版)」|自由国民社

実際に相続税がいくらになるか計算してみよう

相続税を計算する男性と女性

一見難しそうに見えますが、相続財産の額さえ分かれば、あとは上の早見表を使って「基礎控除額→課税遺産総額→控除額・相続税額」と一瞬で分かります。

ここでは実際に一連の計算の流れをやってみましょう。

なお、念のため記載すると相続税は以下の計算式で求められます。

  • 相続財産−基礎控除額=課税遺産総額
  • 課税遺産総額×法定相続分×税率=相続税額

配偶者1人・子供1人の場合(あなたが配偶者)

条件
法定相続人 2人(配偶者1人・子供1人)
相続財産 6,000万円

葬儀費用は葬儀社に見積書を出してもらえばすぐに分かります。

しかし、相続税・控除額などをすぐ知りたい場合には自分で計算しなければいけません。

早見表を使う際には、以下のようにお考えください。

【早見表を使った考え方】まず、「配偶者1人・子供1人・相続財産6,000万円」の場合だと早見表③から、相続税額は合計で90万円だな。

次に法定相続人が2人だから、早見表①から基礎控除額は4,200万円で、残った1,800万円が課税遺産総額。

そして、半分の900万円が自分の取得金額か。

一応確認しておくと、早見表②より取得金額が900万円の場合、税率は10%でここで発生する特別控除はゼロだな。

葬儀費用は相続財産から支払うことができるのか?

葬儀に関して疑問を感じている男性

日本消費者協会が2017年に行った「第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」によると、葬儀費用の全国平均は195.7万円です。

この莫大な金額を相続財産から支払うことができるのかどうかは、喪主や相続人の最大の関心事ですよね。

結論から言いますと、葬儀費用は相続財産から支払うことができます。

とはいえ、これだけ伝えても「本当にできるの・・・?」と感じてしまい、実際に葬儀をする時も不安を抱えたままになってしまうと思います。

ここからは「支払うことができる」ことの根拠をどこよりも分かりやすく解説していきますので、合わせて覚えていただきたいと思います。

まず抑えるべきは、「葬儀費用は誰が負担すべきものなのか?」についてです。

被相続人や相続人が支払うものなら相続財産から支払っていいはずですし、喪主が支払うべきなのなら相続財産から支払っていいはずです。

要点をまとめると以下の表のようになります。

葬儀費用は誰が負担する? 相続財産からの支払いはOK?
被相続人(亡くなった身内の人) OK
喪主 原則:NG

例外:他の相続人との間で合意があった場合

相続人 OK

つまり、葬儀費用を相続財産から支払っていいのかどうかは、「誰が負担するのか?」で決まります。

では、この件に関して法律ではどう解釈されているのでしょうか?

相続財産から支払う葬儀費用に関しての判例は、以下の3つの種類があります。

相続財産から支払う葬儀費用に関する判例上の3つの解釈

  • 最有力の考え方
    • 喪主を負担者とする考え方(名古屋高裁平成24年3月29日判決など)
  • その他の考え方
    • 相続財産の負担とする考え方(東京家審昭和33年7月4日家月10巻8号36頁など)
    • 相続人に法定相続分に応じて分割承継されるとの考え方(東京高決昭和30年9月5日家月7巻11号57頁など)

この3つの解釈の中で最も有力なのは、「喪主を負担者とする考え方」です。

よって、葬儀費用は、民法885条の「相続財産に関する費用」にあたらず、相続財産からの支払いができないということになります。

もともと相続財産とは、「故人からの相続発生時(=故人の死亡時)に故人が保有していた財産・債務」のことなので、「死亡後に発生した債務である葬儀費用は相続財産にあたらない」という解釈は妥当といえるでしょう。

  • 相続財産
    • 故人(=身内の亡くなった人)の「死亡時」に、故人が保有していた財産・債務のこと
  • 葬儀費用
    • 故人の「死亡後」に発生した債務

→「死亡後」に発生した葬儀費用(債務)は、「死亡時」に故人が持っていた相続財産(財産・債務)ではない!

よって、葬儀費用は「原則」相続財産から支払えないと判例は解釈している

しかし、実際には相続財産から葬儀費用を支払うケースは多い

葬儀費用を相続財産から支払えることに驚いている男性

先ほど、「葬儀費用は相続財産から支払えない」と判例は(原則)解釈していると言いましたが、実際の葬儀では「葬儀費用を相続財産から支払うケース」は普通にあります。

「判例で(原則)ダメと言っているのに大丈夫なの?」と疑問に思うかもしれませんが、これにもきちんとした理由があります。

現在、多くの人は通夜や告別式の参列者から頂いた香典を葬儀費用の支払いにあてています。

日本消費者協会が2017年に行った「第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」によると、葬儀費用の全国平均は195.7万円です。

また、香典に関しては、鎌倉新書が2013 年 11 月 11 日~11 月 14 日に行った「第一回お葬式に関する全国調査」によると、参列者から頂いた香典の総額として最も多いのは20万円未満でした。

つまり、頂いた香典を全額葬儀費用に当てても、まだ170万以上を負担しなければならない現実があるのです。

このような中で「葬儀費用を支払えないから葬儀を行えない!」という方を少しでも減らすために、社会通念上仕方なく「葬儀費用を相続財産から支払うこと」を認めているのです。

判例の解釈上は「葬儀費用は相続財産から支払えない」けれども、「法律できちんと明文化はされてないからセーフ!」ということですね。

【葬儀費用を相続財産から支払うことができるか?】

結論:判例は「原則」否定しているが、社会通念上認めざるを得ないので、

「例外的」に葬儀費用を相続財産から支払うことを認めている!

葬儀費用を相続財産から支払う際の注意点

葬儀に関して注意をする男性

葬儀費用を相続財産から支払う際には、他の相続人との間に合意が必要です。

これは、有力説である「名古屋高裁平成24年3月29日判決」の判例から読み取れます。

名古屋高裁平成24年3月29日判決の解釈

  • 葬儀費用の負担について
    • 原則:喪主が負担する
    • 例外:相続人の間で「葬儀費用を誰がいくら負担するのか」の合意があれば、そちらを優先する

相続人が多い場合は調整が大変ですので、可能ならば葬儀前にきちんと合意を得ておきたいですね。

葬儀費用を相続財産から支払う際の手順まとめ

葬儀に関するポイントをまとめている女性

前項までで、葬儀費用は相続財産から支払うことができるということが分かりました。

ここからは、「実際にどのように支払えばいいのか?」が気になる方のために、支払う際の手順をご紹介します。

手順①相続人全員と連絡を取ろう

葬儀費用を相続財産から支払うためには、相続人全員の合意が必要です。

あらかじめ合意を得ている場合は別ですが、身内の葬儀はある日突然起こるものですので、ほとんどの場合は事前の合意を得られていないでしょう。

そこでまずは、相続人全員と連絡を取って「相続財産から葬儀費用を支払うこと」に対して合意を得ましょう。

具体的には、下記の3つの手順で進めていけば大丈夫です。

  1. 葬儀社からの見積書を開示する
  2. 相続人全員から支出に対する了解を得る
  3. 葬儀費用に関する領主書を残す

手順②金融機関に確認して預貯金を引き出す

金融機関と話し合いをしている女性

次にやるべきなのは、金融機関に確認して預貯金を引き出すことです。

大多数の方が葬儀費用という突然の出費に対して預貯金を頼ることになると思いますが、ここでは「口座の凍結」に気をつける必要があります。

一般的に銀行は、口座名義人の死亡後にその人の口座を凍結して、口座からの引き出しなどの各種取引を行えないようにします。

それは、口座名義人が死亡すると、その人の預金が相続人全員のものとなるので、トラブル回避のためにきちんと合意を取った上での引き出し以外に応じないようにするためです。

引き出しの際には「本人確認」が必要なので、下記の書類を用意しておきましょう。

必要書類まとめ(銀行の場合)

  • ア:故人の戸籍謄本又は除籍謄本 (法定相続人の範囲を示すもの。除籍謄本の発行は役所での死亡届受理から2週間前後になります。役所へ問い合わせてみましょう)
  • イ:法定相続人全員の戸籍謄本   (3カ月以内)
  • ウ:法定相続人全員の印鑑証明書 (3カ月以内)
  • エ:支払目的がある場合は、見積書や請求書(葬儀代・医療代など)
  • オ:銀行の必要書類(法定相続人の同意書等・直筆の署名・実印の捺印)※銀行へ問い合わせてみましょう。
  • カ:手続き代表者の本人確認書類(運転免許書やパスポート・健康保険証等)
  • キ:手続き代理人は、故人の実印・預金通帳・通帳の届出印・キャッシュカードを持参

※その他、代理人の実印・認め印も必要な事がありますので、銀行へ問い合わせてみましょう。

【出典】ベリーベスト法律事務所がお届けする「使える!役立つ!」法律情報サイト

なお、必要書類は金融機関によって違う場合もあるので、あらかじめ口座名義人の利用していた金融機関に問い合わせしておくことをオススメします。

まとめ

葬儀費用のポイントをまとめる男性
  • 葬儀費用は相続人全員の「合意」があれば、相続財産から支払うことができる
  • 葬儀費用を相続財産から支払えば相続税の納税額が減るため、実際の納税負担を軽くすることができる
  • 葬儀費用の控除をする際の2つの注意点
    • 葬儀社に必ず領収書を発行してもらう
    • 10ヶ月という申告・納税期間を守る

以上、この記事では「葬儀費用における控除の対象・控除額・注意点・申告期間」「葬儀費用を相続財産から支払うことはできる根拠と手順・注意点」についてご紹介しました。

全国平均195.7万円(「第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」|日本消費者協会 より)もの葬儀費用をポンっと用意するのは大変です。

葬儀費用は相続財産から支払えますので、制度をうまく使いましょう。

また、相続税の合計額や控除額を知りたいときには、ぜひ早見表をお使いください。

葬儀社 料金システム
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小さなお葬式

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葬儀費用の全国平均:1,957,000円に対して・・・

家族葬:338,000円〜488,000円

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葬儀(葬式)費用の平均相場と内訳は?負担額が最も少ない葬儀社2選【2019年】

2018.05.11

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24歳の終活カウンセラー。Amazonで終活関係の本を20冊以上購入し、電車の中で毎日読む生活を4ヶ月以上継続中。最近はまっている趣味は「マインドフルネス(瞑想)」。人生に疲れたら、お寺に行って座禅修行する予定。